【奇跡の復刻盤】今井慶松・五代 山勢松韻 名演集
【きせき・の・ふっこくばん】いまい・けいしょう・ごだい・やませ・しょういん めいえんしゅう
収録曲
1 |
五代 山勢松韻襲名披露公演舞台 挨拶(05'38") あいさつ |
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挨拶:今井慶松 [録音] 1936年(昭和11年)10月4日 東京九段 軍人会館にて収録 | |||
2 |
五代 山勢松韻襲名披露公演舞台 三番叟(21'28") ざんばそう |
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歌・箏:今井慶松、五代 山勢松韻 歌・三弦:初代 髙橋榮清 [録音] 1936年(昭和11年)10月4日 東京九段 軍人会館にて収録 | |||
3 |
長唄・箏曲組曲 御祭の春(19'57") ながうた・そうきょくくみきょく みまつり・の・はる |
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相馬御風作詞 / 四世 杵屋佐吉、今井慶松作曲 唄:九世 芳村伊四郎、杵屋藤吉 三味線:四世 杵屋佐吉、杵屋佐助 上調子:杵屋佐治朗 箏:今井慶松、初代 伊藤松超 歌:五代 山勢松韻、小島染井(後に、松染) 笛:梅屋竹次 小鼓:五代 福原百之助 大鼓:梅屋勝嗣 太鼓:梅屋金太郎、梅屋勝昭 [録音] 1940年(昭和15年)4月3日 NHK放送音源 | |||
4 |
十返の松(17'39") とかえり・の・まつ |
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中内蝶二作詞 / 今井慶松作曲 歌・箏本手:今井慶松、五代 山勢松韻 箏高音(替手):下條起久井 三弦:山室千代子 [録音] 1939年(昭和14年)1月1日 NHK放送音源 | |||
5 |
新ざらし(13'06") しんざらし |
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北沢勾当作詞 / 深草検校作曲 / 今井慶松編曲 歌・箏:今井慶松 歌・三弦:五代 山勢松韻 [録音] 1938年(昭和13年)12月17日録音、1937年(昭和12年)3月発売 大日本雄辯會講談社(キングレコード) |
time:0.33 s・
作品紹介
「現代に甦った奇跡の記録」
本CDアルバムには、「新ざらし」(昭和14年、キングレコード)を除き、昭和11年〜15年の舞台・放送での生演奏が収録されています。これらの音源は、当時一般に普及していたとは言い難いSP盤録音機を使用して記録された、全13枚(26面)のSP盤から制作しました。録音機の歴史は現在まで大きく変遷してきましたが、70年前に生演奏の録音記録・エアチェックを行うことは一般には先ず困難でした。しかし驚くべきことに、これらのSP盤を順番に聴くと生演奏が途切れなく収録されており、2台の録音機を交互に使用したことがわかります。これは当時の箏曲界・邦楽界を代表する演奏家の生演奏記録に並々ならぬ意慾を持って取り組んでいたことに思い至ります。レコード会社によるSP盤の発売は明治大正期から始まっていましたが、舞台・放送での生演奏の記録が残されたことは、まさに奇跡的と言って差し支えなく、極めて資料価値、稀少価値が高いと考えられます。
このようにして現代に残された貴重なSP盤ですが、レコード会社制作のSP盤とは異なる言わば簡易録音のため、不安定な回転ムラ、SP盤の溝をレコード針が通るために発生するスクラッチノイズ、何らかの原因で混入した磁気ヒズミ、物理的なキズ、当時のマイクロフォン性能に起因する音量不足など、多様なノイズが大きく含まれており、その大きなノイズの中から微かな演奏が聴こえてくる状態で、十分に演奏を味わって聴くことは不可能と思われました。しかし、この歴史的な録音記録を現代に甦らせたいとの六代山勢松韻師の強い願いを受け、私ども財団は、SP再生技術に長い経験と高い評価を受けておられる草柳俊一氏にSP盤からのデジタル化を依頼、さらにSP盤音源のノイズリダクション製作に画期的な手法で取り組んでおられる内藤孝敏氏の最新の音源修復技術によって、大きな音質改善を図ることが叶いました。世界にひとつだけのSP盤に録音された70年前の演奏が今こうしてCD盤に収録され皆様にお聴き頂ける。これはまさに、「現代に甦った奇跡の記録」と言えるのではないでしょうか。
財団法人日本伝統文化振興財団理事長 藤本草