現代邦楽の世界
げんだいほうがく・の・せかい
Kazue Sawai・17-stringed koto Contemporary Japanese Music
Maki Ishii/Yoshiro Irino/Seiho Kineya/Tadao Sawai/Toshio Hosokawa/Toru Takemitsu
収録情報
録音:
[1]1979年11月6日/[2] — [3]1979年11月19日/[4] — [5]1979年11月14日 ビクタースタジオ
[6] — [9]1983年8月6日 コロムビア赤坂第1スタジオ
収録曲
1 |
十七絃と打楽器のための 「漂う島」作品38(11'56") じゅうしちげん・と・だがっき・の・ため・の「ただようしま」さくひん38 Drifting Island for koto (17-chord) and percussion op.38 (1979) |
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作曲:石井眞木 Maki Ishii
沢井一恵 十七絃 吉原すみれ 打楽器
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二十絃と十七絃のための 「二つのファンタジー」
にじゅうげん・と・じゅうしちげん・の・ための「ふたつ・の・ふぁんたじー」 Two Fantasies for 20-stringed koto & 17-stringed koto (1969) | |||
作曲:入野義朗 Yoshiro Irino 沢井一恵 十七絃 野坂恵子 二十絃 | |||
2 |
Ⅰ.(04'26") 1 |
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3 |
Ⅱ.(05'32") 2 |
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4 |
十七絃独奏曲 「いするぎ(石動)」(08'49") じゅうしちげんどくそうきょく「いするぎ」 Isurugi for solo 17-stringed koto(1974) |
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作曲:杵屋正邦 Seiho Kineya
沢井一恵 十七絃
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5 |
独奏十七絃と箏群のための 「焰」(16'33") どくそうじゅうしちげん・と・そうぐん・の・ため・の「ほむら」 Homura for solo 17-stringed koto and koto ensemble(1979) |
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作曲:沢井忠夫 Tadao Sawai
沢井一恵 十七絃 井原潤子 Ⅰ箏/石垣清美 Ⅱ箏/福永千恵子 Ⅲ箏/川村昌子 Ⅳ箏/樋口眞知子 Ⅴ箏
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6 |
十七絃箏曲 「夜(ノクチュルヌ)」(11'14") じゅうしちげんそうきょく「よる(のくちゅるぬ)」 Nocturne for 17-stringed koto(1982) |
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作曲:細川俊夫 Toshio Hosokawa
沢井一恵 十七絃
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「海へ」
「うみへ」 Toward the Sea for alto flute and 17-stringed koto(1981/rev.1983) | |||
作曲:武満徹 Toru Takemitsu (沢井一恵 編)(revised by Kazue Sawai) 沢井一恵 十七絃 中川昌三 アルト・フルート | |||
7 |
Ⅰ. 夜(04'24") 1・よる The Night |
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8 |
Ⅱ. 白鯨(04'51") 2・はくげい Moby Dick |
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9 |
Ⅲ. 鱈岬(04'12") 3・たらみさき Cape Cod |
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time:0.3 s・
作品紹介
十七絃を独奏楽器として確立し追求した沢井一恵。
そのしなやかな感性が紡ぎ出す現代邦楽の新たな地平!
世界中の最前線の音楽シーンで箏の真価を問い続けている現代日本を代表する箏奏者・沢井一恵。日本伝統文化を体現する古典作品の演奏を土台に、箏と西洋音楽、現代音楽、先鋭的なJAZZ、即興との接点を探求し、各界の一流音楽家達から尊敬を集める。その代表作3枚を復刻発売。
本作は、昭和54(1979)年度の第34回芸術祭・音楽部門優秀賞を受賞した公演と同内容のものを、公演の翌月にビクタースタジオにて録音した沢井一恵の第一作目のソロ・アルバム『現代邦楽の世界/沢井一恵』(SJL-224)の初CD化です。復刻にあたっては、オリジナル盤の録音担当エンジニアだった服部文雄氏の監修でマスタリングを行ない、豊かな倍音と広大なダイナミックレンジを持つ邦楽器のサウンドを最上級のクオリティで再現しています。オーディオに関心のある方にもぜひお聴きいただきたいCDです。
また、今回の復刻に際して、1983年にコロムビア社から発売された沢井一恵の2枚のLP『沢井一恵十七絃箏1983 ACT.1』と『沢井一恵十七絃箏1983 ACT.2』から、細川俊夫、武満徹の二作品を追加収録しています(いずれも初CD化)。武満徹『海へ』はアルト・フルートとギターのための作品ですが、沢井一恵が作曲者の許可を得て十七絃箏のために編曲し、作曲者立ち会いの下で録音したものです。石井眞木作品と細川俊夫作品は沢井一恵の委嘱作品。
1979年10月22日。沢井一恵の十七絃リサイタルは、この一邦楽器のあらたなイメージを喚起し、新しい領域を確信させた。
石井眞木がはじめて邦楽器に手を染めた、十七絃と打楽器のための《漂う島》は、ドラやタムタムと多数のリンを伴い、無調ふうのマリンバと音階的な運びの十七絃が、中空に美しいモーダルな動きを編んで行く。打楽器たちの静かにたなびくサウンドの風景に、十七絃の鋭いアタック音や豊かな倍音がこだまし、新しい生命が息づくのを聴く。
十七絃と二十絃がそれぞれ独立して拮抗する入野義朗《二つのファンタジー》は、コントラストと結合の複雑な構造にむかって、たがいが誘発するエネルギーを、高い次元の二重奏に合流させている。
十七絃の男性的なたくましい性格を強調した杵屋正邦《いするぎ》では、豪快でスケールの大きい、迫力にみちた独奏が、まさに無伴奏チェロのイメージを喚起する。
夫君の沢井忠夫があらたに書きおろした《焰》は、5人の箏のトレモロやアルペジョのさんざめく音群の海原――ときには爪や棒ぎれによる摩擦音の交錯がホワイト・ノイズとなったり――を背景に、独奏十七絃がオスティナートを繰り出し、ピアノの音形さえも彷彿させながら、トッカータのようにダイナミックな流動を描く。
これらの諸作品にて、沢井一恵の、伝統的な箏の音の姿態をくずさず、洋楽的なセンスと現代的な鋭敏で幅ひろい音色感を反映させた演奏、そのアプローチは、現代邦楽に一石を投じたものといえるだろう。
上野晃(ライナーノーツより)
<ライナーノーツ>
解説:上野 晃
各作曲者による曲目解説
沢井一恵 プロフィール
8歳より箏曲を宮城道雄に師事。東京芸術大学音楽学部卒業。
1979年沢井忠夫と共に沢井箏曲院を設立。古典と現代邦楽の第一線で活躍する一方、全国縦断「箏遊行」や、作曲家の一柳慧、パーカッションの吉原すみれと結成した「トライアングル・ミュージック・ツアー」など様々なコンサートを行う。
ジョン・ゾーンのプロデュースによる公演、高橋悠治プロデュースのリサイタル、高橋悠治作品CD『風がおもてで呼んでいる』制作(コジマ録音)など多彩な活動を展開。1989年以降、ニューヨーク BANG ON A CANフェスティヴァルを始め、ドイツのメルス・ジャズ・フェスティヴァルなどアメリカ、ヨーロッパ、各地のフェスティヴァルより招聘を受け世界中の様々な音楽シーンに登場。
また国内外の多様なジャンルの若手アーティスト達と「沢井一恵箏360°の眼差し」やミュージック・アクション(フランス)などで実験的コンサートを積極的に行い、邦楽とは無縁だった多くの人々に箏の魅力を伝えている。
異色の組み合わせでは、インドネシアの舞踊家サルドノ・クスモとのコラボレーション、また韓国のシャーマン金石出(キム・ソクチュル)達との即興演奏。ロシア人作曲家ソフィア・グバイドゥーリナとの即興CD制作を行っている。
オーケストラとの共演では加古隆作曲の箏協奏曲で、井上道義指揮の新日本フィル、エストニア国立交響楽団などと共演。1999年にはNHK交響楽団のグバイドゥーリナへの委嘱新作『樹影にて』(アジアの箏とオーケストラのための)で、N響定期公演とアメリカ・ツアーに参加(シャルル・デュトワ指揮)、その後も同作品をロシア・ナショナル管弦楽団と共演(ピョートル・メシチャニーノフ指揮)。
2010年4月、佐渡裕指揮・兵庫芸術文化センター管弦楽団との共演で、坂本龍一作曲の箏協奏曲を世界初演。
CDは古典曲を集めた『みだれ』(京都レコード)のほか、現代曲、即興など、多様な内容のものが世界各地のレーベルから発売されている。
沢井一恵 Official Website
http://www.soukyokuin.com/KAZUE.HTM