映画 文楽「冥途の飛脚」(2011年デジタル・リマスター版)

えいが ぶんらく「めいど・の・ひきゃく」(2011ねん・でじたる・りますたーばん)

THE LOVERS' EXILE a film by Marty Gross

五世 竹本織大夫九世 竹本綱大夫九世 竹本源大夫)、五世 鶴澤燕三四世 竹本越路大夫鶴澤清治九世 竹本文字大夫七世 竹本住大夫)、四世 野澤錦糸吉田玉男三世 吉田簑助二世 桐竹勘十郎吉田文雀

VZBG-1001 (Blu-ray) 5,447円(本体 4,952円)

発売日: 2012年11月21日 / ジャンル: 文楽義太夫


▼曲目一覧

作品紹介

当時・現在の人間国宝を中心とする幻の文楽映画がデジタル・リマスターで甦る!
ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「文楽」、その真髄を捉えた貴重な記録がブルーレイで登場!

マーティ・グロス監督作品 1980年;原題「THE LOVERS’ EXILE」
2011年デジタル・リマスター版、英語・日本語字幕つき(字幕なしも選択可能)
※本作は、株式会社キングインターナショナルを通じての販売となります。

◆出演
〈淡路町の段〉
【太夫】五世 竹本織大夫(現 竹本源大夫)/【三味線】五世 鶴澤燕三
〈封印切の段〉
【太夫】四世 竹本越路大夫/【三味線】鶴澤清治
〈新口村の段~傾城恋飛脚より
【太夫】九世 竹本文字大夫(現 竹本住大夫)/【三味線】四世 野澤錦糸

【人形】吉田玉男/三世 吉田簑助/二世 桐竹勘十郎/吉田文雀
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 映画「文楽 『冥途の飛脚』」は、1979年夏に京都・太秦撮影所に精緻な舞台セットを作り上げ、昭和を代表する偉大な名人たちが出演して撮影され、翌1980年に完成した作品です。

 監督は日本文化に深い造詣と共感を持つカナダ出身のマーティ・グロス。撮影は海外でも評価の高い日本映画を代表する名カメラマン岡崎宏三、音響・音楽監修は作曲家の武満徹が担当。イントロダクションとして世界的名優ジャン=ルイ・バローが出演しています。

 〈文楽〉の魅力、そして、近松門左衛門作の人形浄瑠璃『冥途の飛脚』の魅力に正面から挑んだ傑作であり、その映像は後世に残すべき貴重な文化的遺産といえます。

 この映画では、上・中二巻は近松の原作に基づき、下巻の新口村の段は現在の上演でもよく用いられる後世の改作『傾城恋飛脚』に拠っています。各段は実際すべて上演した場合は合計3時間を優に超えますが、マーティ・グロス監督は物語の流れを重視しながらいくつかの場面をカットして編集し、約1時間半の映画作品へと凝縮しています。

 本作完成後、日本国内では劇場公開が行われず長く幻の映画となっていましたが、2011年以来、本ディスクに収録されたデジタル・リマスター版が日本各地で上映され絶賛を博しています。

 1989年に東芝EMIからVHSビデオでリリース。その後マーティ・グロス・フィルム・プロダクションからもVHSビデオがリリースされ、2006年にはVHSビデオ制作時のマスターを使ったDVDがリリースされていました。ただし画質・音質がVHSと同程度だったため、よりクオリティの高い作品として復刻するべく、2011年にオリジナル・フィルムに基づいたデジタル・リマスター・ヴァージョンが完成。床本に基づいた日本語字幕も付き、鮮やかな映像が甦りました。音もオリジナル・マスターテープから新たに収録されています。リマスター・ヴァージョンの優れた品質を損なわないため、本作国内盤はDVD規格ではなく高品位ブルーレイでリリースすることにいたしました。
(なお本作の日本盤DVDの発売予定はございません)

 マーティ・グロス・フィルム・プロダクション制作のオリジナル英語カラー・ブックレットに加え、充実した日本語解説書(全52頁)も付いた永久保存盤。(英語解説書は2006年版・本作の海外DVDに附属していたものと同内容です)

◆スタッフ
製作・監督・編集=マーティ・グロス
撮影=岡崎宏三、小林秀昭/音響・音楽監修=武満 徹/日本側製作=安武 龍/英語字幕=ドナルド・リチー、マーティ・グロス/日本語字幕(2011)=茂手木潔子/演出通訳=エーディルマン敏子/録音=西崎英雄/イントロダクション=ジャン=ルイ・バロー

【特典映像】
◆ジャン=ルイ・バロー、文楽を語る[フランス語版](2:17)
◆メイキング映像(11:23)
◆フォト・ギャラリー[人形遣い/人形/太夫・三味線/武満徹・撮影現場/大映太秦撮影所にて/マーティ・グロス監督とジャン=ルイ・バロー]

【日本語ブックレット・目次】(全52頁)
配役・人形  制作スタッフ(2p.)
エピグラフ(4p.)
文楽 冥途の飛脚/マーティ・グロス(6p.)
文楽について、《冥途の飛脚》について、映画化作品について/マーティ・グロス[青柳俊明、エーディルマン敏子 訳](8p.)
マーティ・グロスの映画“THE LOVERS' EXILE”/武満徹(10p.)
文楽の解説/戸部銀作(12p.)
文楽覚え書/スーザン・ソンタグ[富山太佳夫 訳](14p.)
文楽の伝統/バーバラ・C・アダチ[茂手木潔子 監修/早稲田みな子 訳](18p.)
[鼎談]文楽という芸術/ノースロップ・フライ、ロバート・フルフォード、マーティ・グロス[茂手木潔子 監修/早稲田みな子 訳](29p.)
映画〈文楽「冥途の飛脚」〉 あらすじ(45p.)
出演者紹介(48p.)
近松門左衛門(50p.)
この映画の制作について(51p.)

ブルーレイディスク(BD-ROM)は映像と音声を高密度に記録したディスクです。ブルーレイディスク(BD-ROM)対応のプレーヤーで再生して下さい。
パソコンでの再生は、ディスク(BD-ROM)対応ドライブが必要です。また、パソコンの仕様や環境により、不具合を発生する場合があります。
ハイビジョン・HD(高品位)解像度でご覧になる場合は、対応のテレビ・ディスプレイが必要です。

◆本作品ブルーレイ〈文楽「冥途の飛脚」〉は、全国レコード店、各種インターネット・ショップを通じてお求めいただけます。
◆店頭にない場合でも数日以内にお取り寄せが可能です。キングインターナショナル(電話 03-3945-2333)まで、お問い合わせください。

出演者紹介
四世竹本越路大夫(たけもと こしじだゆう)
 大正2年(1913)大阪出身。大正13年(1924)豊竹古靱太夫(豊竹山城少掾)に入門。平成元年(1989)5月引退。昭和46年(1971)人間国宝、昭和59年(1984)芸術院会員。平成2年(1990)文化功労者。平成14年(2002)没。芸談に淡交社刊『四代越路大夫』、『越路大夫の表現』がある。難声と言われた持ち前の声を活かし、女性の悲しみの表現に独自の世界を作り上げた。理知的な解釈と綿密な語りの表現力に優れ、語りの品格には定評があった。また、伝統を現代に活かす試みにも理解を示し、本映画の実現には越路大夫の協力が大きかった。近松物を得意とし〈封印切〉は代表的な演目。また、〈長局(ながつぼね)〉を好きな演目とも述べている。最後の弟子に竹本千歳大夫(ちとせだゆう)がいる。

九世竹本文字大夫(たけもと もじたゆう)[現・七世竹本住大夫(すみたゆう)]
 大正13年(1924)大阪出身。昭和21年(1946)二世豊竹古靱太夫(とよたけ こうつぼだゆう)[豊竹山城少掾(とよたけ やましろのしょうじょう)]に入門、昭和60年(1985)竹本住大夫を襲名。平成元年(1989)人間国宝。平成10年(1998)芸術院賞恩賜賞受賞。平成15年(2002)芸術院会員。平成17年(2005)文化功労者。文楽界初の大学卒業者でもある。越路大夫引退後は、リーダーとして文楽界を牽引。研究熱心で人物を細かいところまで語りわける分析力に長け、ことに情合のある老人を得意とする。本映像では〈新口村〉を語る。

五世竹本織大夫(たけもと おりたゆう)[現・九世竹本源大夫(げんだゆう)]
 昭和7年(1932)大阪出身。昭和21年(1946)四世竹本織大夫(八世竹本綱大夫[つなたゆう])に入門。平成8年(1996)九世竹本綱大夫を襲名。平成15年(2003)芸術院会員。平成19年(2007)人間国宝。平成23年(2011)九世竹本源大夫を襲名。息子は二世鶴澤藤蔵(つるざわ とうぞう)。近松物の第一人者でもあり、生来の素質に練磨を重ね、スケールの大きい浄瑠璃を語る。また、作曲家の石井眞木と共同作業も行い、音響詩《熊野補陀落(くまのふだらく)》(1980)などで語りを担当するなど、伝統の世界発信にも貢献している。本作品では〈淡路町の段〉を語る。

五世鶴澤燕三(つるざわ えんざ)
 大正3年(1914)大阪出身。大正14年(1925)六世鶴澤才治(さいじ)に入門。昭和4年(1929)六世鶴澤友次郎(ともじろう)門となる。昭和18年(1943)五世鶴澤燕三を襲名。昭和60年(1985)人間国宝。平成13年(2001)8月舞台で倒れ、その後一時回復するも12月没。三味線のニジリの技法(左指で弦を微妙に移動する方法)で柔らかい繊細な音色を生み出すことに優れ、色気のある三味線を弾いた。特に地合(ぢあい)の表現に長けていた。昭和の最後の十年間(1980年代)には、廃絶していた段の復曲なども手がけた。本作品で〈淡路町〉を担当。

四世野澤錦糸(のざわ きんし)
 大正6年(1917)大阪出身。大正15年(1926)四世鶴澤綱造(つなぞう)に入門。昭和3年(1928)二世野澤喜左衛門(きざえもん)の預かりとなる。昭和63年(1988)人間国宝。同年没。十代の頃から重要な場面(切場[きりば])を担当するほど実力を評価され、力強い中に繊細さのある三味線、折り目正しい芸で、バランス感覚にも秀でた人材だった。本人の好きな演目に〈新口村〉、《生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)》の〈宿屋〉がある。

鶴澤清治(つるざわ せいじ)
 昭和20年(1945)大阪出身。昭和28年(1953)四世鶴澤清六(せいろく)に入門。昭和39年(1964)十世竹澤弥七(やしち)の門に入る。平成16年(2004)日本芸術院賞恩賜賞受賞。平成19年(2007)人間国宝。生まれながらの天才的な資質に加え、当代の天才的な三味線弾き、清六、弥七という二大巨匠に師事したことで、卓越した音色、間合いの素晴らしさなど、比類の無い芸域に到達。昭和51年(1976)から平成元年(1981)まで越路大夫を弾く。数々の作曲も手がけ、近年では《天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)》(1992)などがある。平成21年(2009)より三年連続「近松復曲」と題しての廃絶曲の復曲公演も行っている。

吉田玉男(よしだ たまお)
 大正2年(1913)生まれ、昭和8年(1933)吉田玉次郎に入門。人形遣いのリーダーとして活躍。男役が主で、上品で色気のある端正な芸風。役の性格を完全に掴んで演じるため、《冥途の飛脚》の忠兵衛や《曾根崎心中》の徳兵衛のような近松物が最高の当たり役だった。昭和52年(1977)人間国宝。平成元年(1989)勲四等旭日小綬章を受章。平成9年(1997)朝日賞受賞。平成12年(2000)文化功労者。平成15年(2003)京都賞(思想・芸術部門)受賞。平成18年(2006)没。

二世桐竹勘十郎(きりたけ かんじゅうろう)
 大正9年(1920)生まれ、昭和7年(1932)二世桐竹紋十郎に入門。立役を遣ったが玉男とはまったく違った芸風で、荒っぽい役や老人を得意とした。この映画でも、玉男との火花を散らす芸が見られる。昭和53年(1978)国立劇場優秀賞。昭和57年(1982)人間国宝。昭和61年(1986)没。

三世吉田簑助(よしだ みのすけ)
 昭和8年(1933)生まれ、昭和15年(1940)三世吉田文五郎に入門。昭和36年(1961)三世吉田簑助を襲名。華麗に女役人形を遣う文楽を代表するスターとして活躍。その形や動きは、人間では表現しえない美しさを見せるため、常に観客をうっとりとさせる。平成6年(1994)人間国宝。平成9年(1997)日本芸術院賞。平成19年(2007)フランス政府より芸術文化勲章コマンドゥールを受章。平成21年(2009)文化功労者。弟子に三世桐竹勘十郎がいる。

吉田文雀(よしだ ぶんじゃく)
 昭和3年(1928)生まれ、昭和20年(1945)に文楽座に入り、二世吉田玉市(たまいち)、三世吉田文五郎(ぶんごろう)に師事。簑助とともに女役人形の名手だが、芸風は違い、ゆたかな知識により、地味で着実な演技をする人。この映画では妙閑の役。現在、文楽の生き字引的存在である。平成6年(1994)人間国宝。

マーティ・グロス Marty Gross
 1948年生まれ。カナダ、トロント出身の映画作家。陶芸、彫刻、写真、アニメーション・フィルムなど、こどもたちのためのアート教室を1970年代初期から現在に至るまで主宰。同市のヨーク大学で東洋学、東洋美術を専攻したが、「実際の東洋芸術の環境に入り込みたい」と入学して二年後に22歳で単身来日。愛知県常滑市などで五ヶ月間陶工の見習いを経験。1974年、知的障碍児への美術教育に関するドキュメンタリー映画『As We Are』(16ミリ、カラー、29分)を製作。1976年、大分県日田市小鹿田(おんた)と福岡県小石原(こいしわら)村(合併により現・東峰村)の窯元の生活を主題にした映画『Potters at Work(陶器を創る人々)』(16ミリ、カラー、29分)を製作し、オーストラリア、イタリアの映画祭で入賞。翌1975年、マーティ・グロス・フィルム・プロダクションを設立(現在同社のウェブサイトを通じて、歌舞伎など日本の古典芸能のDVDが世界中に発信されている)。1980年、代表作である本作『The Lovers' Exile(冥途の飛脚)』を製作。全米、カナダでテレビ放送され、各地の劇場で上映。日本では長らく未公開だったが、2011年に本デジタル・リマスター版が東京都写真美術館をはじめ全国各地で劇場公開された(配給:T&Kテレフィルム)。マーティ・グロス・フィルム・プロダクションの最新作は、2011年のDVD『The Leach Pottery 1952(リーチ・ポタリー1952 陶芸家バーナード・リーチの工房)』(国内盤発売元:オンリー・ハーツ)。また、長年にわたって多くの日本の映画関係者たちと交流を重ね、現在、世界的に評価が高く芸術的にも優れた作品を厳選し、優れた品質で映画DVDを製作して広く称賛を集める世界的に高く評価される「クライテリオン・コレクション」において、数々の日本映画の名作の海外版DVDを製作する際に中心的な役割を担っている。日本語を巧みに話し、現在でも頻繁に日本を訪れている。
http://www.martygrossfilms.com/

クレジット

五世 竹本織大夫九世 竹本綱大夫九世 竹本源大夫)、五世 鶴澤燕三四世 竹本越路大夫鶴澤清治九世 竹本文字大夫七世 竹本住大夫)、四世 野澤錦糸吉田玉男三世 吉田簑助二世 桐竹勘十郎吉田文雀

収録情報

1979年8月 京都太秦撮影所にて撮影

本編85分+特典映像14分/MPEG 4-AVC/片面・一層/字幕:1 英語字幕 2 日本語字幕(字幕なしも選択可能)/16:9ワイドスクリーン〈1080p High Definition〉/リニアPCM/ モノラル/カラー/複製不能/レンタル禁止

収録曲

1 - 4

1

4

文楽「冥途の飛脚」

ぶんらく「めいど・の・ひきゃく」

THE LOVERS' EXILE a film by Marty Gross
近松門左衛門 / 作曲:古典

1

(第1部)淡路町の段

(20'28")

(だい1ぶ)あわじちょうのだん

2

羽織落し

(02'08")

はおりおとし

3

(第2部)封印切の段

(33'28")

(だい2ぶ)ふういんぎりのだん

4

(第3部)新口村の段~傾城恋飛脚より

(33'28")

(だい3ぶ)にのくちむらのだんけいせいこいびきゃくより

5 - 7

5

7

特典映像

とくてんえいぞう

5

(1)ジャン・ルイ・バロー、文楽を語る

(02'17")

(1)じゃん・るい・ばろー、ぶんらく・を・かたる

6

(2)メイキング

(11'23")

(2)めいきんぐ

7

(3)フォト・ギャラリー

(3)ふぉと・ぎゃらりー

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