百人一首〜恋の歌〜（2枚組）

ひゃくにんいっしゅ〜こいのうた〜

One Hundred Poets, One Poem Each：Japanese Songs of Love

加賀美幸子

かがみ・さちこ

VZCG-8505 〜 8506 （CD） 2,619円（本体 2,381円）

発売日： 2013年11月20日／ジャンル：朗読

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▼曲目一覧

作品紹介

“日本人のこころ”が刻まれた
「百人一首」の世界を音楽とともにお届けします。

「今の心で読む『百人一首』」

加賀美幸子
『百人一首』『小倉百人一首』は、7世紀半ば「大化の改新」のころから13世紀初頭の「承久の乱」のころまでに作られた、まさに王朝時代の和歌を王朝時代末期を生きた藤原定家が選び、編んだアンソロジーです。
その後、今にいたるまで、時代を超えて多くの人々に親しまれてきた『百人一首』
…昔を振り返るというより、今の時代「どう読み、どう捉え、どう味わうか」…日本語の響き、豊かさ、一首一首の歌の力によって、私たちは新たに突き動かされます。

年齢も道のりも違う私たちが、どの歌に共感し、どう読み取るか…恋の歌が多い『百人一首』ですが、そこには作者ひとりひとりの生き方がにじみ、溢れ、今に続く「生き方の鍵」を知らせてくれるのです。（後略）

《洋楽編》の楽曲について

森本恭正
　今回、縁あって―『百人一首』恋の歌―の企画に参加させて戴き、二枚組CDとしてここに納められた歌の半数、25首に付曲することになった。選曲にあたっては、歌の意味や語感に留意しつつ、私が、その四半世紀に渡る渡欧中に作曲した作品から厳選し、さらに吟味を重ねてそれら作品の一部を使った。ヨーロッパでルネサンスが勃興しはじめた13世紀前半、藤原定家によって編まれたとされる小倉百人一首と、私の音楽にもし関連があるとすれば、それは、最後の1曲を除いて巧みにバロック以後（17世紀以降）の音使いを避けていることだろうか。（後略）

―『百人一首』恋の歌―
その企画意図と音楽について

公益財団法人日本伝統文化振興財団
藤本草
　このアルバム―『百人一首』恋の歌―は、古（いにしえ）の和歌に詠われた人が人を恋い慕う思い、その切なく哀しい言葉に、音楽を寄り添わせたらどのような作品になるのだろうか…、というアイディアから誕生しました。
　洋楽器のトーンとメロディによって、歌人の魂を繊細な絹織物に包むようにその心象風景が描かれたCD第一巻。そして、現代から遥かな時を隔てた中世の、雅（みやび）な宮廷で和歌が詠まれたその瞬間を見詰める眼差しのように、日本古来の伝統音楽の調べが歌人のことばを彩るCD第二巻。
　そのいずれも、今も変わらない移ろいやすい恋心が、まるで影絵のような音楽の濃淡と揺らぎによって表現されています。（後略）

加賀美幸子（かがみ・さちこ）

朗読
　昭和38年NHKに入局。夜7時のテレビニュースをはじめ、大河ドラマやドキュメンタリー番組のナレーション、インタビューや司会、朗読など幅広く活躍。特に古典は「百人一首」をはじめ、「源氏物語」「平家物語」「枕草子」「徒然草」「紫式部日記」「和泉式部日記」「更科日記」「古事記」「万葉集」「宇治拾遺物語」他を、放送にて原文朗読。また、「NHK全国短歌大会」「列島縦断短歌・俳句スペシャル」は、約20年にわたり担当し、現在もテレビ、ラジオ、講演などで活躍中。
　著書に、『こころを動かす言葉』（幻冬舎文庫）、『ことばの心・言葉の力』（小学館文庫）他。朗読CDに、『聞いて味わう「平家物語」の世界』（NHKサービスセンター）、『源氏絵物語』（ソフトバンククリエイティブ）他がある。

森本恭正（YUKI MORIMOTO）

作曲家・指揮者
　1985年より2009年までウィーン在住。活動の拠点を東京に移した現在でも、毎年日欧を行き来している。25年に渡る渡欧生活の中で、自らアンサンブル（ENSEMBLE 9）を主宰。1991年にはENSEMBLE 9室内管弦楽団に拡大し、同年、日本ツアー（8公演）も行った。国外のオーケストラではJazz Symphony Orchestra of the State of Sao Paulo, Brazil, Peru National Symphony Orchestra of the Republic of Tatarstan, Russiaおよび、Filharmonia Sudecka, Poland等を指揮。160余の作品を作曲。オーストリア国立図書館に41点（2013年現在）の自筆譜が収蔵される。作品集CDは5枚製作。2004年、オーストリア国立図書館主催により日本人初の作曲家個展を開いた。2007年及び2008年、ポーランド・ルトスワフスキ国際作曲コンクールの審査員を務める。2011年西洋音楽を通してみた文化論、文明論にまで言及した「西洋音楽論」（光文社）を上梓。

収録曲

Disc 1
	1	（3）あしびきの山鳥の尾のしだり尾の　ながながし夜をひとりかも寝む（柿本人麻呂）（02'38"）あしびきの… （音楽）Dark summer 1
	1	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	2	（9）花の色は移りにけりないたづらに　わが身世にふるながめせしまに（小野小町）（02'57"）はなのいろは… （音楽）Cord
	2	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto
	3	（12）天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ　乙女の姿しばしとどめむ（僧正遍昭）（02'39"）あまつかぜ… （音楽）M14
	3	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	4	（13）筑波嶺の峰より落つるみなの川　恋ぞ積もりて淵となりぬる（陽成院）（02'38"）つくばねの… （音楽）Desert
	4	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto　Purc：Elisabeth Flunger
	5	（14）陸奥のしのぶもぢずりたれゆえに　乱れそめにしわれならなくに（河原左大臣）（02'43"）みちのくの… （音楽）Shades Ⅰ,Ⅱ
	5	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	6	（15）君がため春の野に出でて若菜摘む　わが衣手に雪は降りつつ（02'21"）きみがため… （音楽）Waltz in Lukas's house
	6	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9
	7	（18）住の江の岸に寄る波よるさへや　夢の通ひ路人目よくらむ（藤原敏行朝臣）（02'48"）すみのえの… （音楽）Imsomnia
	7	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9
	8	（19）難波潟短き蘆のふしの間も　逢はでこの世を過ぐしてよとや（伊勢）（02'10"）なにはがた… （音楽）Partita for Fagot Ⅴ
	8	作曲：Yuki Morimoto Fa：Eleanor Froelich
	9	（20）わびぬれば今はたおなじ難波なる　みをつくしても逢はむとぞ思ふ（元良親王）（03'55"）わびぬれば… （音楽）Drawn Shades
	9	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	10	（21）今来むといひしばかりに長月の　有明の月を待ち出でつるかな（素性法師）（02'33"）いまこんと… （音楽）Page
	10	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto
	11	（25）名にし負はば逢う坂山のさねかずら　人に知られで来るよしもがな（三条右大臣）（02'55"）なにしおわば… （音楽）At all the bears in town
	11	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	12	（27）みかの原わきて流るるいづみ川　いつ見きとてか恋しかるらむ（中納言兼輔）（02'30"）みかのはら… （音楽）Bara 1st movement
	12	作曲：Yuki Morimoto Vn：Maki Itoi
	13	（30）有明のつれなく見えし別れより　暁ばかり憂きものはなし（壬生忠岑）（02'10"）ありあけの… （音楽）Cord for strings
	13	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	14	（38）忘らるる身をば思はず誓ひてし　人の命の惜しくもあるかな（右近）（02'42"）わすらるる… （音楽）Cleopatra
	14	作曲：Yuki Morimoto Fg：Judith Farmer
	15	（39）浅茅生の小野の篠原忍ぶれど　あまりてなどか人の恋しき（参議等）（02'27"）あさじゅうの… （音楽）Siesta
	15	作曲：Yuki Morimoto Cl：田中はるひ
	16	（40）忍ぶれど色に出でにけりわが恋は　ものや思ふと人の問ふまで（平兼盛）（02'13"）しのぶれど… （音楽）Shades Ⅳ
	16	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	17	（41）恋すてふわが名はまだき立ちにけり　人知れずこそ思ひそめしか（壬生忠見）（02'05"）こいすちょう… （音楽）Movimento
	17	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto
	18	（42）契りきなかたみに袖をしぼりつつ　末の松山波越さじとは（清原元輔）（02'32"）ちぎりきな… （音楽）Once in Arcadia Ⅱ
	18	作曲：Yuki Morimoto Vn：Maki Itoi
	19	（43）逢ひ見てののちの心にくらぶれば　昔はものを思はざりけり（権中納言敦忠）（02'51"）あいみての… （音楽）Isolation
	19	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9
	20	（44）逢ふことの絶えてしなくはなかなかに　人をも身をも恨みざらまし（中納言朝忠）（02'02"）あうことの… （音楽）Labyrinthus
	20	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9
	21	（45）あはれともいふべき人は思ほえで　身のいたずらになりぬべきかな（謙徳公）（03'02"）あわれとも… （音楽）Fields Ⅰ
	21	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	22	（46）由良の門を渡る舟人かぢを絶え　ゆくへも知らぬ恋のみちかな（曾禰好忠）（02'38"）ゆらのとを… （音楽）Rust
	22	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto
	23	（48）風をいたみ岩打つ波のおのれのみ　くだけてものを思ふころかな（源重之）（02'36"）かぜをいたみ… （音楽）Fields Ⅱ
	23	作曲：Yuki Morimoto Ensemble 9　指揮：Yuki Morimoto
	24	（49）御垣守衛士のたく火の夜は燃え　昼は消えつつものをこそ思へ（大中臣能宣）（02'43"）みかきもりえじの… （音楽）The lasy City
	24	作曲：Yuki Morimoto Pf：Yuki Morimoto
	25	（50）君がため惜しからざりし命さへ　長くもがなと思ひけるかな（藤原義孝）（02'41"）きみがため… （音楽）Lento espressivo
	25	作曲：Yuki Morimoto Vn：糸井マキ　Pf：Yuki Morimoto
Disc 2
	1	（51）かくとだにえやは伊吹のさしも草　さしも知らじな燃ゆる思ひを（藤原実方朝臣）（02'18"）かくとだに… （音楽）曹娘褌脱より颯踏
	1	作曲：芝祐靖横山円音、田島和枝、中村香奈子
	2	（52）明けぬれば暮るるものとは知りながら　なほ恨めしき朝ぼらけかな（藤原道信朝臣）（02'41"）あけぬれば… （音楽）泉
	2	作曲：宮城道雄後藤すみ子、善養寺恵介
	3	（53）嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は　いかに久しきものとかは知る（右大将道綱母）（02'31"）なげきつつ… （音楽）心情－2
	3	作曲：金井明生石垣清美、井原潤子、河野正明
	4	（54）忘れじのゆく末まではかたければ　今日を限りの命ともがな（儀同三司母）（02'45"）わすれじの… （音楽）ドームの祈り
	4	作曲：賽山左衛門賽山左衛門
	5	（56）あらざらむこの世のほかの思ひ出に　いまひとたびの逢ふこともがな（和泉式部）（02'27"）あらざらん… （音楽）春の恵
	5	作曲：久本玄智唯是震一、山本邦山
	6	（57）めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に　雲隠れにし夜半の月影（紫式部）（02'35"）めぐりあいて… （音楽）古刹幻想
	6	作曲：上原まり上原まり、藤舎呂英、福原徹彦、望月太津之
	7	（58）有馬山猪名の笹原風吹けば　いでそよ人を忘れやはする（大弐三位）（02'21"）ありまやま… （音楽）叙情・風景
	7	作曲：金井明生石垣清美、井原潤子、河野正明
	8	（59）やすらはで寝なましものをさ夜更けて　かたぶくまでの月を見しかな（赤染衛門）（02'37"）やすらわで… （音楽）思い出
	8	作曲：衛藤公雄衛藤公雄
	9	（62）夜をこめて鳥のそら音ははかるとも　よに逢坂の関は許さじ（清少納言）（03'59"）よをこめて… （音楽）春鶯囀遊声
	9	作曲：(古典）田島和枝、中村香奈子
	10	（65）恨みわび干さぬ袖だにあるものを　恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ（相模）（02'57"）うらみわび… （音楽）失われしもの
	10	作曲：牛腸征司牛腸征司、大久保雅礼、宍倉雅美、野沢雅世、北條雅鳳、宮越雅虹、吉川雅楽巴里
	11	（68）心にもあらで憂き夜に長らへば　恋しかるべき夜半の月かな（三条院）（02'44"）こころにもあらで… （音楽）万葉歌―新月―
	11	作曲：中村香奈子、田島和枝中村香奈子、田島和枝
	12	（72）音に聞く高師の浜のあだ波は　かけじや袖のぬれもこそすれ（祐子内親王家紀伊）（02'26"）おとにきく… （音楽）宴の華
	12	作曲：衛藤公雄衛藤公雄
	13	（74）憂かりける人を初瀬の山おろしよ　激しかれとは祈らぬものを（源俊頼朝臣）（02'30"）うかりける… （音楽）山の筧
	13	作曲：宮城道雄後藤すみ子、善養寺恵介
	14	（77）瀬をはやみ岩にせかるる滝川の　われても末に逢はむとぞ思ふ（崇徳院）（02'43"）せをはやみ… （音楽）旅懐
	14	作曲：山本邦山山本邦山、沢井忠夫
	15	（78）淡路島通ふ千鳥の鳴く声に　いく夜寝覚めぬ須磨の関守（源兼昌）（02'26"）あわじしま… （音楽）千鳥の曲
	15	作曲：吉沢検校米川敏子、岡崎敏優、田中奈央一
	16	（80）ながからむ心も知らず黒髪の　乱れてけさはものをこそ思へ（待賢門院堀河）（02'23"）ながからん… （音楽）哀愁・懐古
	16	作曲：金井明生石垣清美、井原潤子、河野正明
	17	（82）思ひわびさても命はあるものを　憂きに堪へぬは涙なりけり（道因法師）（03'34"）おもいわび… （音楽）壱越調調子
	17	作曲：（古典）田島和枝
	18	（85）夜もすがらもの思ふころは明けやらぬ　ねやのひまさへつれなかりけり（俊恵法師）（02'19"）よもすがら… （音楽）明日への希望
	18	作曲：牛腸征司牛腸征司、大久保雅礼、宍倉雅美、野沢雅世、北條雅鳳、宮越雅虹、吉川雅楽巴里
	19	（86）嘆けとて月やはものを思はする　かこちがほなるわが涙かな（西行法師）（03'05"）なげけとて… （音楽）万葉集―満月―
	19	作曲：中村香奈子、田島和枝中村香奈子、田島和枝
	20	（88）難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ　身を尽くしてや恋ひわたるべき（皇嘉門院別当）（02'29"）なにはえの… （音楽）教訓・荘重
	20	作曲：金井明生石垣清美、井原潤子、河野正明
	21	（89）玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば　忍ぶることの弱りもぞする（式子内親王）（02'36"）たまのをよ… （音楽）祈り
	21	作曲：上原まり、福原徹彦上原まり、藤舎呂英、福原徹彦、望月太津之
	22	（90）見せばやな雄島の海人の袖だにも　濡れにぞ濡れし色は変はらず（殷富門院大輔）（02'44"）みせばやな… （音楽）春の姿
	22	作曲：衛藤公雄衛藤公雄
	23	（91）きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに　衣かたしきひとりかも寝む（後京極摂政前太政大臣）（02'42"）きりぎりす… （音楽）秋
	23	作曲：今藤政太郎中川善雄、米川裕枝
	24	（92）わが袖は潮干に見えぬ沖の石の　人こそ知らねかわく間もなし（二条院讃岐）（02'33"）わがそでは… （音楽）組歌風
	24	作曲：宮城道雄後藤すみ子
	25	（97）来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに　焼くや藻塩の身もこがれつつ（権中納言定家）（02'31"）こぬひとを… （音楽）叙情・静寂
	25	作曲：金井明生石垣清美、井原潤子、河野正明

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百人一首〜恋の歌〜 （2枚組）

作品紹介

「今の心で読む『百人一首』」

《洋楽編》の楽曲について

―『百人一首』恋の歌―その企画意図と音楽について

加賀美幸子（かがみ・さちこ）

森本恭正（YUKI MORIMOTO）

収録曲

（3）あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む（柿本人麻呂）

（9）花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに（小野小町）

（12）天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ（僧正遍昭）

（13）筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積もりて淵となりぬる（陽成院）

（14）陸奥のしのぶもぢずりたれゆえに 乱れそめにしわれならなくに（河原左大臣）

（15）君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ

（18）住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ（藤原敏行朝臣）

（19）難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや（伊勢）

（20）わびぬれば今はたおなじ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ（元良親王）

（21）今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな（素性法師）

（25）名にし負はば逢う坂山のさねかずら 人に知られで来るよしもがな（三条右大臣）

（27）みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ（中納言兼輔）

（30）有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし（壬生忠岑）

（38）忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな（右近）

（39）浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき（参議等）

（40）忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで（平兼盛）

（41）恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか（壬生忠見）

（42）契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは（清原元輔）

（43）逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり（権中納言敦忠）

（44）逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし（中納言朝忠）

（45）あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたずらになりぬべきかな（謙徳公）

（46）由良の門を渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋のみちかな（曾禰好忠）

（48）風をいたみ岩打つ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな（源重之）

（49）御垣守衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ（大中臣能宣）

（50）君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな（藤原義孝）

（51）かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを（藤原実方朝臣）

（52）明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな（藤原道信朝臣）

（53）嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る（右大将道綱母）

（54）忘れじのゆく末まではかたければ 今日を限りの命ともがな（儀同三司母）

（56）あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな（和泉式部）

（57）めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影（紫式部）

（58）有馬山猪名の笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする（大弐三位）

（59）やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな（赤染衛門）

（62）夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ（清少納言）

（65）恨みわび干さぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ（相模）

（68）心にもあらで憂き夜に長らへば 恋しかるべき夜半の月かな（三条院）

（72）音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ（祐子内親王家紀伊）

（74）憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを（源俊頼朝臣）

（77）瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ（崇徳院）

（78）淡路島通ふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚めぬ須磨の関守（源兼昌）

（80）ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ（待賢門院堀河）

（82）思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり（道因法師）

（85）夜もすがらもの思ふころは明けやらぬ ねやのひまさへつれなかりけり（俊恵法師）

（86）嘆けとて月やはものを思はする かこちがほなるわが涙かな（西行法師）

（88）難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ 身を尽くしてや恋ひわたるべき（皇嘉門院別当）

（89）玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする（式子内親王）

（90）見せばやな雄島の海人の袖だにも 濡れにぞ濡れし色は変はらず（殷富門院大輔）

（91）きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む（後京極摂政前太政大臣）

（92）わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし（二条院讃岐）

（97）来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ（権中納言定家）

百人一首〜恋の歌〜（2枚組）

―『百人一首』恋の歌―
その企画意図と音楽について

（3）あしびきの山鳥の尾のしだり尾の　ながながし夜をひとりかも寝む（柿本人麻呂）

（9）花の色は移りにけりないたづらに　わが身世にふるながめせしまに（小野小町）

（12）天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ　乙女の姿しばしとどめむ（僧正遍昭）

（13）筑波嶺の峰より落つるみなの川　恋ぞ積もりて淵となりぬる（陽成院）

（14）陸奥のしのぶもぢずりたれゆえに　乱れそめにしわれならなくに（河原左大臣）

（15）君がため春の野に出でて若菜摘む　わが衣手に雪は降りつつ

（18）住の江の岸に寄る波よるさへや　夢の通ひ路人目よくらむ（藤原敏行朝臣）

（19）難波潟短き蘆のふしの間も　逢はでこの世を過ぐしてよとや（伊勢）

（20）わびぬれば今はたおなじ難波なる　みをつくしても逢はむとぞ思ふ（元良親王）

（21）今来むといひしばかりに長月の　有明の月を待ち出でつるかな（素性法師）

（25）名にし負はば逢う坂山のさねかずら　人に知られで来るよしもがな（三条右大臣）

（27）みかの原わきて流るるいづみ川　いつ見きとてか恋しかるらむ（中納言兼輔）

（30）有明のつれなく見えし別れより　暁ばかり憂きものはなし（壬生忠岑）

（38）忘らるる身をば思はず誓ひてし　人の命の惜しくもあるかな（右近）

（39）浅茅生の小野の篠原忍ぶれど　あまりてなどか人の恋しき（参議等）

（40）忍ぶれど色に出でにけりわが恋は　ものや思ふと人の問ふまで（平兼盛）

（41）恋すてふわが名はまだき立ちにけり　人知れずこそ思ひそめしか（壬生忠見）

（42）契りきなかたみに袖をしぼりつつ　末の松山波越さじとは（清原元輔）

（43）逢ひ見てののちの心にくらぶれば　昔はものを思はざりけり（権中納言敦忠）

（44）逢ふことの絶えてしなくはなかなかに　人をも身をも恨みざらまし（中納言朝忠）

（45）あはれともいふべき人は思ほえで　身のいたずらになりぬべきかな（謙徳公）

（46）由良の門を渡る舟人かぢを絶え　ゆくへも知らぬ恋のみちかな（曾禰好忠）

（48）風をいたみ岩打つ波のおのれのみ　くだけてものを思ふころかな（源重之）

（49）御垣守衛士のたく火の夜は燃え　昼は消えつつものをこそ思へ（大中臣能宣）

（50）君がため惜しからざりし命さへ　長くもがなと思ひけるかな（藤原義孝）

（51）かくとだにえやは伊吹のさしも草　さしも知らじな燃ゆる思ひを（藤原実方朝臣）

（52）明けぬれば暮るるものとは知りながら　なほ恨めしき朝ぼらけかな（藤原道信朝臣）

（53）嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は　いかに久しきものとかは知る（右大将道綱母）

（54）忘れじのゆく末まではかたければ　今日を限りの命ともがな（儀同三司母）

（56）あらざらむこの世のほかの思ひ出に　いまひとたびの逢ふこともがな（和泉式部）

（57）めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に　雲隠れにし夜半の月影（紫式部）

（58）有馬山猪名の笹原風吹けば　いでそよ人を忘れやはする（大弐三位）

（59）やすらはで寝なましものをさ夜更けて　かたぶくまでの月を見しかな（赤染衛門）

（62）夜をこめて鳥のそら音ははかるとも　よに逢坂の関は許さじ（清少納言）

（65）恨みわび干さぬ袖だにあるものを　恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ（相模）

（68）心にもあらで憂き夜に長らへば　恋しかるべき夜半の月かな（三条院）

（72）音に聞く高師の浜のあだ波は　かけじや袖のぬれもこそすれ（祐子内親王家紀伊）

（74）憂かりける人を初瀬の山おろしよ　激しかれとは祈らぬものを（源俊頼朝臣）

（77）瀬をはやみ岩にせかるる滝川の　われても末に逢はむとぞ思ふ（崇徳院）

（78）淡路島通ふ千鳥の鳴く声に　いく夜寝覚めぬ須磨の関守（源兼昌）

（80）ながからむ心も知らず黒髪の　乱れてけさはものをこそ思へ（待賢門院堀河）

（82）思ひわびさても命はあるものを　憂きに堪へぬは涙なりけり（道因法師）

（85）夜もすがらもの思ふころは明けやらぬ　ねやのひまさへつれなかりけり（俊恵法師）

（86）嘆けとて月やはものを思はする　かこちがほなるわが涙かな（西行法師）

（88）難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ　身を尽くしてや恋ひわたるべき（皇嘉門院別当）

（89）玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば　忍ぶることの弱りもぞする（式子内親王）

（90）見せばやな雄島の海人の袖だにも　濡れにぞ濡れし色は変はらず（殷富門院大輔）

（91）きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに　衣かたしきひとりかも寝む（後京極摂政前太政大臣）

（92）わが袖は潮干に見えぬ沖の石の　人こそ知らねかわく間もなし（二条院讃岐）

（97）来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに　焼くや藻塩の身もこがれつつ（権中納言定家）