「砧」「羽衣」 観世寿夫 至花の二曲(2枚組)
「きぬた」「はごろも」かんぜ・ひさお・しか・の・にきょく
Kinuta, Hagoromo:Hisao Kanze plays two Noh — drama masterpieces
VZCG-8429 〜 8430 (CD) 6,285円(本体 5,714円)
発売日: 2009年8月26日 / ジャンル: 能
収録情報
CD1「砧」
録音:昭和51年(1976年)9月8日 パリ、オルセイ劇場に於けるライヴ・レコーディング(ステレオ)
CD2「羽衣」
録音:昭和44年(1969年)2月9日 梅若楽院能楽堂(ステレオ)
※「一セイ」と「物着のアシライ」のみ、モノラル音源を使用。
収録曲
Disc 1 | |||||
---|---|---|---|---|---|
「砧」
きぬた | |||||
作者:世阿弥 季節:秋 場面:筑前の国芦屋[福岡県遠賀郡芦屋町] シテ〈観世流〉:観世寿夫 ツレ〈観世流〉:奥善助 ワキ〈宝生流〉:宝生閑 アイ〈和泉流〉:野村万之丞(野村萬) 笛〈一噌流〉:一噌幸政 小鼓〈大倉流〉:北村治 大鼓〈葛野流〉:亀井忠雄 太鼓〈金春流〉:三島元太郎 地謡:観世静夫(八世 観世銕之亟)、山本順之、浅見真州、永島忠侈、長山禮三郎、浅井文義 |
|||||
1 |
〔名ノリ笛〕(05'24") 〔なのりぶえ〕 |
||||
2 |
ツレ 急ぎ候ふ程に。蘆屋の里に着きて候(00'35") つれ いそぎそうろふほどに。あしやのさとに・つきてそうろふ |
||||
3 |
シテ それ鴛鴦の衾の下には(07'10") して それえんのおの・ふすまの・したには |
||||
4 |
シテ あら不思議や(03'19") して あら・ふしぎや |
||||
5 |
〔物着のアシライ〕(22'35") 〔ものぎ・の・あしらい〕 |
||||
6 |
ツレ いかに申し候。都より人の参りて候ふが(04'49") つれ いかにもうしそうらふ。みやこより・ひとのまいりて・そうろうが |
||||
7 |
アイ狂言(01'36") あいきょうげん |
||||
8 |
後ワキ 無慙やなさしも契りし爪琴の(03'41") あとわき むざん・やなさしも・ちぎりし・つまごとの |
||||
9 |
〔出端〕(09'58") 〔では〕 |
||||
10 |
地謡 羊の歩み隙の駒(05'57") じうたい ひつじのあゆみ・ひまのこま |
||||
11 |
地謡 法華読誦の力にて(03'47") じうたい ほつけどくじゆ・のちからにて |
||||
Disc 2 | |||||
「羽衣」
はごろも | |||||
作者:未詳 季節:春 場面:駿河の国三保の松原[静岡県静岡市] シテ〈観世流〉:観世寿夫 ワキ〈観世流〉:観世静夫(八世 観世銕之亟) ワキツレ〈観世流〉:山本順之 地頭〈観世流〉:観世静夫 地謡〈観世流〉:未詳 笛〈一噌流〉:一噌正之助 小鼓〈幸流〉:穂高光晴 大鼓〈高安流〉:安福建雄 太鼓〈金春流〉:金春惣右衛門 |
|||||
1 |
〔一セイ〕(12'49") 〔いっせい〕 |
||||
2 |
ワキ われ三保の松原に上り(12'17") わき われみおのまつばらにあがり |
||||
3 |
ワキ いかに申し候。御姿を見奉れば(03'17") わき いかにもうしそうろふ。おんすがたを・みたてまつれば |
||||
4 |
〔物着のアシライ〕(22'14") 〔ものぎの・あしらい〕 |
||||
5 |
〔序ノ舞〕(15'41") 〔じょのまい〕 |
||||
6 |
地謡 東遊の数々に(04'30") じうたい・あずまあそびの・かずかずに |
||||
time:0.28 s・
作品紹介
世阿弥は 寿夫の出現を六百年待っていた
観世寿夫逝きて すでに三十二年
名優ジャン・ルイ・バロオとの交友による
パリ・オルセイ劇場の「砧」上演の記録
豪州の女流音楽家のために録音した「羽衣」
幻の記録が いまCDとしてよみがえる
復刻監修=増田正造
「現代の世阿弥」と称せられた不世出の能役者・観世寿夫の至芸。当代一流の演者が集った、貴重なステレオ音源による幻のアルバム、ついに初CD化。
「砧」は昭和51年(1976年)に世阿弥座としてヨーロッパを巡演した折、パリのジャン・ルイ・バロー主宰のオルセイ劇場に於ける実況録音ですが、これは昭和35年のジャン・ルイ・バロー来日時における観世寿夫との出会いから始まる日仏両国の能の交流が実を結んだ歴史的な記録といえます。観客の高い集中に応えて舞台の演技も一段と冴え、臨場感ある録音がその場の雰囲気を伝えています。
オリジナルLP盤(2枚組)『羽衣・砧 観世寿夫 名曲を謡う』(SJL-25004~5)ビクター音楽産業/昭和57年(1982年)3月21日発売。
両作品ともLP制作時に収録時間の都合でカットされた部分があり、「羽衣」では唯一現存する、オリジナル録音テープからのダビング音源(モノラル)を部分挿入して完全復刻(冒頭のワキの登場囃子「一セイ(本越シ)」と「物着のアシライ」)。「砧」はLPへの編集前のオリジナル音源の所在が不明のため、LP盤マスターを用いて新たに復刻を行なっております。
解説:金春惣右衛門、観世榮夫、増田正造
詞章掲載
「観世寿夫の芸力のすべてを結集した感があり、しみじみと彼をしのんで鑑賞して頂きたいと思う次第である」(金春惣右衛門)
表紙写真:観世寿夫「砧」 昭和44年10月27日(撮影:吉越立雄)
観世寿夫(かんぜ ひさお)
大正14年生、昭和53年没。シテ方・観世流。七世観世銕之丞・雅雪の長男。祖父の六世観世銕之丞・華雪に師事。昭和38年度芸術祭奨励賞受賞。華の会同人。