尺八空間曼陀羅 恨(ハン)の軌跡  リサイタル・ライブ

しゃくはちくうかんまんだら はん・の・きせき  りさいたる・らいぶ

Shakuhachi Space Mandala

三橋貴風

みつはし・きふう

Kifu Mitsuhashi

VZCG-760 (CD) 2,857円+税

発売日: 2011年11月23日 / ジャンル: 尺八


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作品紹介

平成21年度(第64回)文化庁芸術祭大賞と第60回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を同時受賞したコンサート『三橋貴風 尺八本曲 空間曼陀羅 「恨(ハン)の軌跡」』のライブ録音から、古典本曲「三谷」三態と現代本曲「鶴林」を収録。
自作曲「HAMA」(2001年スタジオ録音)を含む、独奏尺八の深淵を明示した三橋貴風、渾身のアルバム!

 遠く紀元前の西アジア辺りを起源とされている尺八が、天平の頃に唐から伝えられた宮廷音楽の為の楽器として先ず伝来し、そののち鎌倉の建長年間以降に禅の臨済宗の一派法燈派(ほっとうは)の行脚僧である虚無僧により法器として吹かれる様になった事は史実として知られております。
 文化が民族・国境を越えて伝播する時、近隣の国々からの様々な形の影響が複合的に結集し新たな一つの型を作る事があります。古来の尺八の音楽(尺八古典本曲)を考える時、その感性の核として切っても切れない感覚の一つに韓民族の美学「恨(ハン)」がある事に気付かされます。「恨」とは単に「うらみ」を意味する言葉ではありません。更に深く更に冷静な一種の哲学と云う事が出来るかも知れません。
 一頃には普化宗(法燈派の別称)の寺は全国に二百寺ほどもあったと聞いており、それらの寺々所傳となる固有の本曲の数は現存しているものを遥かに凌いでいた事と思われます。本日前半ではこれらの多くの尺八古典本曲の内の「同名異曲」から、「三谷」を三態お聴き頂こうと思っております。

三橋貴風(2009年公演パンフレットより)

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平成21年度(第64回)文化庁芸術祭大賞
第60回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞
三橋貴風 尺八本曲 空間曼陀羅
「恨(ハン)の軌跡」

2009年11月10日(火)19時 津田ホール

青太字は本CD収録曲

【三谷三題】
三谷(さんや)  布袋軒所傳尺八古典本曲
三谷清攬(さんやせいらん)  津軽根笹所傳尺八古典本曲
三谷(さんや)  越後明暗寺所傳尺八古典本曲
【現代本曲】
舞働(まいばたらき)〈1979〉*   湯浅譲二 作曲
恨櫓歌(ハンノガ)――尺八と大芩(テグム)のための〈2009 委嘱作品・世界初演〉   金大成(キム デーソン)作曲
鶴林(かくりん)――独奏尺八のための〈1973〉**   廣瀬量平 作曲

客演 * パーカッション:吉原すみれ、** 大芩(テグム):金政丞(キム ジョンスン)

 三谷とは、「すががき」(菅垣、菅搔、清攬などの字を当てます)の一種で、「三谷すががき」を省略した言い方です。もともとは、糸曲「すががき」の三下り(雲井調子)の曲だったと思われ、尺八では、本調子「すががき」の主旋律を手を替えて吹いたものと考えられています。
 『糸竹初心集』(1663年刊)によると、「虚無僧尺八」に「れんぼながし、京れんぼ、さむや、いつ、よし田」などの「手」、すなわち尺八本曲があったと記されています。このことから、17世紀半ばにはすでに「さむや」=「三谷」が尺八の曲として、独自の姿を見せていたことが分かります。
 「三谷」は奥州各地にも伝播し、風土と人の関わりを経て、それぞれが異なる趣をもつ曲として伝承されてきました。
 このアルバムでは、その中から三つの表情を見せる「三谷」を聴くことができます。いずれも、神如道(じん にょどう 1891-1966)の伝承曲です。
 最後に収録されている「HAMA」は、2001年にスタジオ録音された自作自演。「HAMAとは海辺の浜であり、波間でもあり、また破魔でもあります。」(三橋貴風) 1987年9月にNHK総合テレビ初の深夜番組「スタジオL」のために作曲されたブルース風の尺八独奏曲です。

〈ライナーノーツ〉
(前書き)/三橋貴風
曲目解説/神田可遊(尺八史家)、廣瀬量平、三橋貴風

【おことわり】本作は2010年8月にプライベート盤『尺八空間曼陀羅/三橋貴風』として制作・発売されたアルバムを、ジャケットとタイトルを変更して一般発売するものです。また、(1)~(4)はライブ収録のため会場ノイズ等が入っていることをあらかじめご了承くださいませ。

三橋貴風 (みつはし きふう) プロフィール
1950年 東京・国立市に生まれる。
1968年 尺八を佐々木操風氏に師事。以後、神如道伝の普化尺八古典本曲及び津軽根笹派錦風流古典本曲、先代の青木鈴慕伝の琴古流本曲及び古曲、吉田晴風系の新曲を修得。
1974年 作曲の基礎を柴田南雄氏に師事。尺八を岡本竹外氏に師事。以後、京都明暗寺、越後明暗寺及び、東北系の普化尺八古典本曲、別傳の津軽根笹派錦風流古典本曲の伝授を戴く。
1980年 「三橋貴風 第1回尺八リサイタル」により昭和55年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞。
1981年 「四つの個による楽」により昭和56年度大阪文化祭賞奨励賞を受賞。
1989年 「三橋貴風尺八リサイタル」により平成元年度文化庁芸術祭賞を受賞。
1991年 ニューヨーク・カーネギーホールの百周年記念公演に若杉弘指揮東京都交響楽団と共にソリストとして出演。
1992年 第10回中島健蔵音楽賞を受賞。ソロCD「諸井誠作曲 竹林奇譚」により文化庁芸術作品賞を受賞。横浜市文化賞奨励賞を受賞。
1994年 大野和士指揮 東京フィルハーモニー交響楽団のヨーロッパ公演にソリストとして参加。
1996年 第8回飛騨古川音楽大賞奨励賞を受賞。
2004~05年 ケント・ナガノ指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団と武満徹作曲「ノヴェンバー・ステップス」をベルリン・シュタッツ・オパー及びパリ・シャトレ座、そして東京で共演。
2006年 岩城宏之指揮 京都市交響楽団と「ノヴェンバー・ステップス」を共演。
2008年 国際交流基金主催により中南米でのリサイタルツアーを実施。海外でのリサイタルは現在までに123回、また東京では26回行う。
2010年 「三橋貴風 尺八本曲空間曼陀羅 恨の軌跡」【ライブ音源の一部を本アルバムに収録】により平成21年度文化庁芸術祭大賞と第60回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を併せ受賞。同年横浜文化賞を受賞。
現在 琴古流尺八貴風会主宰。琴古流尺八大師範。普及用の合成樹脂製尺八「NOBLE管(特許)」、及び琉球旋法の尺八「うちなー尺八(実用新案)」を開発。横浜市在住。

クレジット

尺八三橋貴風

収録情報

14:2009年11月10日、津田ホールライブ録音 5:2001年10月2日スタジオ録音

収録曲

1

三谷  布袋軒所傳尺八古典本曲

(10'58")

さんや

San'ya

尺八(二尺四寸管)

2

三谷清攬  津軽根笹所傳尺八古典本曲

(10'02")

さんや・せいらん

San'ya Seiran

尺八(二尺一寸管)

3

三谷  越後明暗寺所傳尺八古典本曲

(12'37")

さんや

San'ya

尺八(二尺七寸管)

4

鶴林 尺八独奏のための

(11'18")

かくりん しゃくはちどくそう・の・ための

Kakurin

尺八(一尺八寸管)

作曲:廣瀬量平

5

HAMA

(08'15")

はま

Hama

尺八(一尺八寸管)

作曲:三橋貴風

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