森田圭一の民謡採集手帖 完結編 さと人の抱吼 氣藥
もりた・けいいち・の・みんようさいしゅうてちょう かんけつへん さとびと・の・ほうこう きやく
もりた・けいいち
収録曲
1 |
日向の駒牽き唄(04'31") ひゅうが・の・こまひきうた |
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不詳 唄:森田圭一 尺八:外山玉風 | |||
2 |
熊野の舟唄(05'08") くまの・の・ふなうた |
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和歌山県民謡 唄:森田圭一 尺八:渡辺朝山 囃子:梅乃井染吉 | |||
3 |
垂井の馬廻し唄(02'58") たるい・の・うままわしうた |
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作詞:長谷川凡人 原案:寺崎偉之 / 作曲:夢歌師 / 編曲:櫻川雪洲 唄:森田圭一 尺八:外山玉風 囃子:梅乃井越山 | |||
4 |
越後屋根葺き唄(04'14") えちごやねふきうた |
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新潟県民謡 / 補詞:長谷川凡人 / 採譜:今井充 唄:森田圭一 尺八:外山玉風 囃子:梅乃井茶誉丸 | |||
5 |
鹿角山唄(山神奉賛)(04'58") かづのやまうた(やまがみほうさん) |
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秋田県民謡 唄:森田圭一 尺八:米谷和水 囃子:梅乃井畦鳥 | |||
6 |
山サ来(03'34") やまさこ |
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山形県民謡 唄:森田圭一 尺八:渡辺朝山 囃子:中井義美 | |||
7 |
津軽山唄(詔刀師節調)(02'55") つがるやまうた(のりとしぶしちょう) |
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青森県民謡 唄:森田圭一 尺八:渡辺朝山 | |||
8 |
馬喰追分(04'57") ばくろおいわけ |
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北海道民謡 / 補詞:長谷川凡人 唄:森田圭一 尺八:外山玉風 囃子:梅乃井里岳 | |||
9 |
めでたきものは(来梅の古謡)(03'23") めでたきものは(くるめ・の・こよう) |
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東京都民謡 唄:森田圭一 尺八:外山玉風 囃子:梅乃井茶誉丸 | |||
10 |
来梅の土搗き木遣り唄(04'38") くるめ・の・つち |
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東京都民謡 唄:森田圭一 尺八:米谷和水 囃子:梅乃井(王へんに由)郷 | |||
11 |
来梅の箪笥かつぎ唄(04'03") くるめ・の・たんすかつぎうた |
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東京都民謡 唄:森田圭一 尺八:米谷和水 囃子:梅乃井染吉 | |||
12 |
来梅の馬喰さん(04'11") くるめ・の・ばくろさん |
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東京都民謡 唄:森田圭一 尺八:渡辺朝山 | |||
13 |
来梅の嫁入り道中唄(03'25") くるめ・の・よめいりどうちゅううた |
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東京都民謡 唄:森田圭一 尺八:米谷和水 囃子:梅乃井染吉、梅乃井畦鳥 | |||
14 |
来梅の萱刈り唄(04'32") くるめ・の・かやかりうた |
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不詳 唄:森田圭一 尺八:米谷和水 | |||
15 |
浮間の舟唄(04'12") うきま・の・ふなうた |
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不詳 / 補詞:長谷川凡人 / 編曲:櫻川雪洲 唄:森田圭一 尺八:渡辺朝山 囃子:中井義美 |
time:0.32 s・
作品紹介
それぞれの土地の暮らしに密着した知られざる民謡や唄を、伝承者や記憶する人から丁寧に採集し、検証し、全国各地の本来の民謡の姿はこうだったのだろうと紹介してきた「森田圭一の民謡採集手帖」の完結版となる第4作です。(第1、2集はカセットテープのみ、第3集はCDのみの発売です)
本作は、50年余の歳月を掛けて民謡探訪採集を続けてきた森田圭一の真骨頂と言えるもので、収録された全曲を尺八伴奏で歌っているのも、日頃から「非純正律の妙」を標榜する森田圭一らしいところです。また、活動拠点である地元の東京都東久留米市からの依頼で発掘・採集した民謡・里唄から6曲を収録しているのも聴き所です。人と土の関わりに根ざした、生活から生まれ出た歌の姿を、森田圭一は明らかにしてくれています。
なお、タイトルの「抱吼(ほうこう)」という漢字には、「昔から日本人は心の中に思い抱いていることを叫ぶ(吼える)ことが難しく、その思いを胸に秘め続けていたが、言論の自由が与えられた現代は"咆哮"であり、言論の自由が無かった時代は"抱吼"なのだと考えた」という森田圭一の思いが込められています。
かつて、ビクターレコードの学芸部長で後に民謡研究で活躍した故・佐藤和雄氏は、森田圭一を指して「うた売り判官」と評しましたが、それは、自らの個性を打ち出した歌唱スタイルを拒み、それぞれの曲にふさわしい声色をその都度駆使して、風土色(歌の郷土性)を強調し、各地に伝承される歌の紹介に専念していたからでした。森田圭一は、次のように語っています――「民謡の面白さは世界の洋の東西を問わず、そのお国の風土性を表すもので、その精神はあまり変わりはないが、言彩に基づくメロディームーブとリズムタッチがとても面白い歌芸です」。又、鄙唄・里唄は「人作り・国(くに)つ業(わざ)」なり、如何に国益に役立てんと、その座右の銘は――、「我身雖居謡藝之業・我心猶存憂國之情」(われようげいのぎょうにおるといえども・わがこころなおゆうこくのじょうをぞんす)。
前作「続・々・森田圭一の民謡採集手帖 旦那藝 古今東西」(VZCG-678)に続いて、本作でも文学博士であり民謡研究家の三隅治雄先生(芸能学会会長)が解説文を執筆しています。解説書には、全曲の詳しい説明と詞章も掲載されています。