チマーラ歌曲集 川本愛子
ちまーらかきょくしゅう かわもと・あいこ
かわもと・あいこ
クレジット
収録情報
1993年6月14日府中の森芸術劇場ウィーンホールにて収録
収録曲
1 |
雪が降ります(03'10") ゆき・が・ふります Fiocca la neve |
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詩:G.パスコリ Giovanni Pascoli / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
2 |
愛の神よ、ようこそ(02'58") あい・の・かみ・よ、ようこそ Ben venga amore |
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詩:G.ペーシ Goffredo Pesci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
3 |
郷愁(02'47") きょうしゅう Nostalgia |
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詩:H.ハイネ Heinrich Heine / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
4 |
雪が降る間(03'47") くも・が・ふる・あいだ Mentre cade la neve |
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詩:U.S.ベルニ Ugo Scotti Berni / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
5 |
輝く星星(03'14") かがやく・ほしぼし Stelle chiare |
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詩:V.A.ポンピーリ Vittoria Aganoor Pompili / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
6 |
トロール船(漁船)(00'59") とろーるせん(ぎょせん) Paranzelle |
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詩:G.パスコーリ Giovanni Pascoli / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
7 |
マリーンの鐘(02'13") まりーん・の・かね Le campane di Malines |
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詩:英詩の伊訳(G.ペーシ Goffredo Pesci訳) / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
8 |
ダンスへの誘い(02'16") だんす・への・さそい Invito alla danza |
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詩:C.ザンガリーニ Carlo Zangarini / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
9 |
海辺の光景(03'08") うみべ・の・こうけい Visione marina |
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詩:G.ペーシ Goffredo Pesci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
10 |
星星は再び(03'00") ほしぼし・は・ふたたび Tornan le stelle |
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詩:L.サントゥッチ Lorenzo Santucci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
11 |
冗談(01'17") じょうだん Scherzo |
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詩:C.ザンガリーニ Carlo Zangarini / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
12 |
海のストルネッロ(04'07") うみ・の・すとるねっろ Stornellata marinara |
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詩:G.ペーシ Goffredo Pesci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
13 |
セレナータ(夕べの歌)(02'01") せれなーた(ゆうべ・の・うた) La serenata |
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詩:V.A.ポンピーリ Vittoria Aganoor Pompili / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
14 |
ストルネッロ(02'47") すとるねっろ Stornello |
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詩:A.フラテイリ Arnaldo Frateili / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
15 |
小さな春(03'47") ちいさなはる Primaverina |
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詩:A.ペトゥルッチィ Alfredo Petrucci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
16 |
マッティナータ(朝の歌)(02'51") まってぃなーた(あさ・の・うた) Mattianta |
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詩:A.フラテイリ Arnaldo Frateili / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
17 |
泉水のほとりで(02'48") いずみ・の・ほとり・で Presso una fontana |
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詩:A.コスタ Alessandro Costa / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
18 |
マッジョラータ(五月の花祭の歌)(04'20") まっじょらーた(ごがつ・の・はな) Maggiolata |
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詩:G.ペーシ Goffredo Pesci / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
19 |
無限のもの(04'09") むげん・の・もの L'infinito |
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詩:G.レオパルディ Giacomo Leopardi / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara | |||
20 |
窓ガラスからうかがえば(01'11") まどがらす・から・うかがえば Spiando ai vetri |
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詩:C.ザンガリーニ Carlo Zangarini / 作曲:ピエトロ・チマーラ Pietro Cimara |
time:0.31 s・
作品紹介
ピエトロ・チマーラ(1887-1967)は、一般的にはイタリアのオペラ指揮者として名を残していますが、そうした活動の傍らで、イタリア音楽の中心となるベルカントの伝統を受け継いだ美しく甘い旋律の歌曲をトスティやレスピーギに劣らぬほど数多く作曲していました。本盤は、これまでLPやCDでは世界的にも数曲しか紹介されていなかったチマーラの知られざる歌曲を集成した世界初の記念碑的なアルバムです。ソプラノの川本愛子がピアノの花岡千春のサポートを得て1993年に録音した自主制作CDの再発盤です。
続編となる2009年の新録音によるアルバム『チマーラ歌曲集 II』(VZCC-1027)との同時発売です。
<ライナーノーツ>
川本愛子の「チマーラ歌曲集」に寄せて/小山晃
全曲の詞章&訳詞を掲載
【楽譜】
『チマーラ歌曲集』(新版)は、全音楽譜出版社より好評発売中です。
ピエトロ・チマーラ Petro Cimara(1887-1967)
19世紀の末に生まれたチマーラは、主にオペラの指揮とピアノ伴奏の分野で活躍し続け、満80歳を迎える直前に没したという近代の人である。音楽学者のリッチ女史が2003年に発表した詳論によると、彼は、1887年11月10日にローマっ子の父ジュゼッペと母ジョヴァンナのもとに生まれ、二人の弟ジョヴァンニとルイージを持つ三人兄弟の長子として育ったという。幼少時からヴァイオリンを学んだ彼は、ローマのコスタンツィ劇場(現ローマ・オペラ座)のヴァイオリン奏者として活動を開始、その後にサンタ・チェチーリア音楽院でピアノと指揮法を専攻、卒業後は指揮者の見習いとしてコスタンツィ劇場に再び職を得た。ちなみに、作曲活動もこの頃から始めていたようで、1910年には2つの歌曲を初出版している。
チマーラに転機が訪れたのは1918年のことである。この年、休暇でトッレ・デル・ラーゴに赴いた際、彼は大作曲家プッチーニの知遇を得た。そして、その翌年にプッチーニの新作《三部作》がイタリアで初披露された折(1919年1月11日、コスタンツィ劇場)、チマーラもその上演に協力した。ちなみに、この頃の彼はピアノ奏者としても活躍しており、かの大プリマ、ルイーザ・テトラッツィーニの伴奏者として、英米圏の演奏旅行に同行している(1919年9月から翌年4月まで)。
この後、20年近く米国に在住したチマーラは、1932年から58年までメトロポリタン歌劇場において《セビリャの理髪師》や《ランメルモールのルチア》、《リゴレット》や《蝶々夫人》といった人気演目を中心に128回も指揮台に立っている。当時の彼の棒捌きについては、ブラジルの名ソプラノ、ビドゥ・サヤオ(サヤン)の復刻音源等で今も耳にすることが出来る。しかし、1958年1月13日の《運命の力》の公演中、修道院のシーンのさなかに彼は心臓発作を起こし、指揮のキャリアはそこで終わりを迎えた。その後はイタリアに帰国した彼だが、晩年の日々に関する情報は殆どなく、1967年10月1日に、故郷のローマではなくミラノで亡くなったという一行が伝えられるのみである。
岸純信(オペラ研究家)[ライナーノーツより]
川本愛子(ソプラノ)
武蔵野音楽大学声楽科卒業、同大学院声楽専攻修了。
團伊玖磨氏指揮「夕鶴」のつう、「パリアッチ」のネッダ、「こうもり」のロザリンデ、「ディドとエネアス」のベリンダ役等でオペラに出演。また、アルド・プロッティ来日記念公演にて「リゴレット」のジルダ役で共演。宗教曲のソリストとして数多くのコンサートでも活躍している。近年音楽の友ホールにて開催しているシリーズ「日本歌曲と詩人の心」「日本歌曲と音の魔術師たち」にレギュラー出演し、高い評価を得ている。ビクターより自主製作盤で1993年世界初の「チマーラ歌曲集」をCD録音・リリースし、高い評価を得た。
96年「レスピーギとチマーラの夕べ」以来、毎年のように興味深いテーマでリサイタルを開催している。第9回奏楽堂日本歌曲コンクール三位入賞。木下記念賞受賞。故ロドルフォ・リッチ、故渡邊高之助、伊藤京子、三池弘美の各氏に師事。二期会会員、ぐるーぷなーべ会員。
花岡千春(ピアノ)
東京芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業、1980年同大学院ピアノ専攻修了。故安川加壽子、矢部民女史らに師事。同年パリに留学しエコール・ノルマル音楽院でジャン・ミコー氏に師事。翌年第一等首席で修了、以後同学院のアシスタントを務める。82年パリでのリサイタルを皮切りにヨーロッパ各地で演奏。81年、84年マリオ・ザンフィ・リスト国際ピアノコンクール、82年フィナレ・リグレ国際コンクールなどに入賞。85年イタリアに居を移し、ピエロ・グワリーノ氏のもとで研鑽を積み、86年帰国。以後、リサイタルをはじめ、室内楽、伴奏、放送などに活動の場を拡げ、ソロアルバムを含め多数のCD録音も行う。さらに、演奏活動と共に各地のコンクール審査員を歴任。99年芸術祭参加公演「花岡千春ピアノ独奏会」が平成11年度芸術祭賞音楽部門大賞を受賞。
現在、国立音楽大学教授並びに同大学院教授。